こんにちは!アイエー大宮支店WEB担当のこっちゃんです!
今回は「専任の宅建士の専任性についての改正」について書いていきたいと思います。
インターネットは私たちの生活に欠かすことのできないコミュニケーションツールです。もちろん私たちのような宅建業者の業務にも活用が求められます。一方で、専門家としての顧客への丁寧な対応は、宅建業者に課された重要な使命です。インターネットを利用して業務を行う場合でも顧客対応がおろそかにならないように気を付けなければなりません。
このバランスを勘案して、今般、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方において、宅建士の専任性に関する取扱いが改められました(令和6年4月1日施行)。この改正ついて解説していこうと思います。
宅地建物取引業法(以下、宅建業法)は、購入者の利益保護や宅地建物の流通円滑化を図るために様々なルールを定めています。このルールの中で重要な役割を担っているのが、宅地建物取引士(以下、宅建士)です。宅建業者は、事務所等に宅建士を配置したうえで、宅地建物を購入、または賃借しようとしている者に対し、宅建士が法定の重要事項について、重要事項説明書を交付して説明させなければならず(宅建業法35条1項)、また重要事項説明書や契約成立後に交付すべき書面には、宅建士が記名しなければなりません(同法同条5項、37条3項)。
宅建業者が宅建士を置いても、人数が少なすぎたり、事務所の宅建業以外の業務にばかり従事していたりすると、必要な顧客対応ができません。責任の所在が不明確になる恐れもあります。そのために、宅建業者は、事務所において宅建業者の業務に従事する者の人数に対して、5分の1以上の割合となる人数の専任の宅建士を設置しなければならないものとされています(同法31条の3第1項、同法施行規則15条の5の3)。
専任とは、宅建業を営む事務所に常勤して、専らその事務所に係る宅建業の業務に従事する状態です。一人の宅建士が、同一の宅建業者の複数の事務所における専任の宅建士を兼ねることはできませんし、他に勤務先があり、一般社会の通念における営業時間に、宅建業者の事務所に勤務する事ができない場合には、専任とは認められません。
近年では宅建業者の業務にインターネットを活用することが一般化していましたが、加えて令和2年からの新型コロナウイルス感染症の影響により、宅建士の在宅勤務(テレワーク)が強く求められることとなりました。そのため、令和3年7月には、専任性の概念について、宅建業者の通常の勤務時間に勤務するものであるという考えを維持しつつも、「ITの活用等により適切な業務ができる体制を確保した上で、宅地建物取引業者の事務所以外において通常の勤務時間を勤務する場合を含む」ものとされました(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方31条の3第1項関係3第1段落本文かっこ書き。)
また従前から、宅建業者の事務所が宅建業以外の業種を兼業している場合等で、事務所において、一時的に宅地建物取引業の業務が行われていない間に、他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものとされていました(同解釈・運用の考え方31条の3第1項関係3第1段落ただし書き)。
加えて、一時的に他の業種の業務に従事することが差し支えないのであれば、他の事務所に業務に従事しても差し支えないと考えられます。そこで、今般、解釈・運用の考え方に、「当該事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行われてない間に、ITの活用等により、同一の宅地建物取引業者の他の事務所に係る宅地建物取引業の業務に従事することは差し支えない」とする文言が付け加えられ、事務所の宅建業の業務を行っていないときには、一時的に他の事務所の宅建業の業務に従事することが認められることになりました。なお併せて、「この場合において、当該他の事務所における専任の宅地建物取引士を兼ねることができるわけではないことに留意すること」とする注意書きも付されています(同解釈・運用の考え方31条の3第1項関係3第2段落)。
これまでも、専任の宅建士以外の宅建士であれば、複数の事務所の業務を兼務することは可能でしたが、今般の改正によって、専任の宅建士についても、自らが専任となっている事務所以外の事務所の業務を、一時的に行うことが可能になったわけです。この改正は、主にテレワークを利用して他の事務所の業務を行う事を想定していますが、事務所の休日など、専任となっている事務所の業務を行う必要がない状況のもとでは、他の事務所に実際に赴いて業務を行うことも許されないことではないと思われます。
宅建業者のインターネットを活用する業務については、日々新たな技術が開発され、社会の動向に応じて業務のルールも移り変わっています。新たな状況を把握し、最新のルールに則って業務を行うことは宅建業者の責任ですので、適切かつ効率的な業務を行っていきたいと考えています。
今回は「専任の宅建士の専任性についての改正」について書いてみましたがいかがでしたでしょうか。
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