

土地や建物を売った利益(譲渡所得)にかかる税金、実は「その土地をどれくらいの期間持っていたか」によって、支払う金額が天と地ほど変わることをご存じでしょうか?
「だいたい5年くらい持っているから大丈夫だろう」
その安易な判断が、後に数百万円もの税金を余分に払う原因になるかもしれません。
今回は、土地売却における最重要知識である「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」の違い、そして多くの人が勘違いしやすい「5年ルールの数え方」について、土地買取の専門家である株式会社アイエーが分かりやすく解説します。
土地売却にかかる税金は、売却する年の1月1日時点で所有期間が「5年を超えているか」で税率が約2倍変わります。5年以下なら約39%、5年超なら約20%です。ただし、「実際の所有期間」と「税法上の所有期間」は計算方法が異なるため、数え間違いによる数百万円の損失リスクに注意が必要です。
【重要ポイント】
土地や建物を売った利益(譲渡所得)にかかる税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで大きく区分されます。これを「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」と呼びます。
まずは衝撃的な税率の差をご覧ください。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
※所得税には復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を含みます。
ご覧の通り、短期で売ると約40%、長期で売れば約20%です。
単純計算で、同じ利益が出ても税金は約2倍も違います。これが「5年が分かれ目」と言われる理由です。
例えば、土地を売って1,000万円の利益が出た場合:
所有期間の判定を一日間違えるだけで、新車が買えるほどの金額を損してしまう可能性があるのです。
空き家・空き店舗から市街化調整区域まで。なんでもご相談ください!
ここが今回の記事で最も重要なポイントです。
多くの方が「買った日から、売った日までの期間」が5年を超えればいいと勘違いされています。しかし、税法上のルールは違います。
税率を決める所有期間は、「譲渡(売却)した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかで判定されます。
【重要ルール】
所有期間 = 取得日(買った日)から、売却した年の1月1日までの期間
つまり、実質的な所有期間(カレンダー上の期間)では「5年プラスアルファ」が必要になります。もっと簡単に言うと、「お正月(1月1日)を6回迎えているか」が目安になります。
カレンダー上では「丸5年と1ヶ月」経過しています。「5年超だから長期譲渡所得だ!」と思って売却すると、どうなるでしょうか?
【判定】
売却した年(2024年)の1月1日時点で見ます。
2019年4月1日 〜 2024年1月1日 = 4年9ヶ月
結果:5年以下なので「短期譲渡所得(39.63%)」が適用されます。
このケースでは、あと1年待って「2025年の1月1日以降」に売却すれば、長期譲渡所得になったのです。この数ヶ月の差を知らずに売却し、後から税務署からの通知で青ざめるケースが後を絶ちません。
「親が亡くなって土地を相続した。自分の名義になってからはまだ1年しか経っていない」
この場合、すぐに売ると短期譲渡所得になってしまうのでしょうか?
答えは「NO(長期譲渡になる可能性が高い)」です。
相続や贈与で取得した土地建物の場合、所有期間は「被相続人(亡くなった方)や贈与者が取得した日」を引き継ぎます。
「相続してから5年待たないと損をする」という誤解も多いですが、親の代から長く持っている土地であれば、相続後すぐに売却しても税率は低いままですのでご安心ください。
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実際に数字を入れて計算してみましょう。
土地の売買代金そのものではなく、そこから経費を引いた「譲渡所得(利益)」に対して税金がかかります。
譲渡所得 = 譲渡価額 – (取得費 + 譲渡費用)
この「1,000万円の利益」に対して税金がかかります。
| 項目 | 短期譲渡(5年以下) | 長期譲渡(5年超) |
|---|---|---|
| 譲渡所得 | 1,000万円 | 1,000万円 |
| 税率 | 39.63% | 20.315% |
| 税額(概算) | 396万3,000円 | 203万1,500円 |
| 手取り額 | 2,603万7,000円 | 2,796万8,500円 |
所有期間の違いだけで、手元に残るお金に約193万円もの差がつきます。
この差額があれば、新居の家具を全て最高級で揃えたり、リフォーム費用に充てたりすることができます。
「5年経っていないけれど、どうしても今すぐ売らなければならない」
「長期譲渡でも税金が高い。もっと安くならないか?」
そう思われる方のために、国はいくつかの「特別控除(特例)」を用意しています。これらが適用できれば、税率に関わらず税金を大幅に圧縮、あるいはゼロにできる可能性があります。
自分が住んでいた家と土地を売却する場合、所有期間の長短に関わらず、譲渡所得から最大3,000万円を差し引くことができます。
もし利益が3,000万円以下なら、課税対象額がゼロになるため、税金は発生しません。
これは非常に強力な特例です。「家付きの土地」を売る場合は必ずチェックしてください。
相続した実家(空き家)を売却する場合、一定の耐震基準を満たすなどの要件をクリアすれば、こちらも3,000万円の控除が受けられます。昭和56年5月31日以前に建築された家屋などが対象です。
マイホームを買い換える際、売却益に対する課税を将来(次に売却する時)まで繰り延べることができる制度です。
※これらの特例を利用するには、確定申告が必要です。また、特例同士の併用ができない場合もあるため、詳細は税理士や不動産会社への事前相談が必須です。
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ここまで「長期譲渡がお得」という話をしてきましたが、では「短期譲渡(5年以下)なら絶対に売ってはいけないのか?」というと、必ずしもそうではありません。
不動産のプロである私たちの視点から、「税金が高くても売るべきケース」についてお話しします。
例えば、現在3,000万円で売れる土地があるとします。
「あと1年待てば長期譲渡になるから」と待っている間に、地価が下がって2,700万円になってしまったらどうでしょうか?
売値が10%下がれば、節税効果は吹き飛び、むしろ損をする可能性があります。
「節税」よりも「高く売ること」の方が、手取り額へのインパクトが大きいケースは多々あります。
土地や空き家を持っているだけで、毎年「固定資産税」や「都市計画税」がかかります。さらに草むしりや管理の手間、火災保険料なども必要です。
「5年経過待ち」をしている間の維持費が、節税額を上回ってしまうなら、すぐに手放した方が合理的です。
不動産は「縁」です。条件の良い買い手は、あなたが5年経過するのを待ってはくれません。
「欲しい」という人がいるタイミングが、最大の売り時です。機会損失(チャンスを逃すこと)は、税金以上の損失になりかねません。
土地売却における税金は複雑で、個別の事情によって最適な選択が変わります。
「自分の土地はいつ売るのがベストなのか?」
「長期譲渡になるまで待つべきか、今の相場で売ってしまうべきか?」
迷われた際は、ぜひ株式会社アイエー大宮支店にご相談ください。
私たちは、一般的な仲介だけでなく、「土地の直接買取」に強みを持っています。
「まずは査定だけ」「税金の計算方法を知りたい」といったご相談も大歓迎です。
埼玉・大宮エリアの土地売却は、信頼と実績のアイエーにお任せください。
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A. いいえ、なりません。
長期譲渡所得の条件は「5年を超える」ことです。5年ちょうどでは「5年以下」に含まれ、短期譲渡所得(約39%)となります。1日でも超える必要がありますが、前述の通り「売却した年の1月1日時点」での判定ですので、実質的には丸6年目のお正月を迎える必要があります。
A. リセットされません。
土地の所有期間は、あくまで「その土地を取得した日」から計算します。古家を解体して更地にしても、土地の取得日は変わりませんので、所有期間は通算されます。
A. 「概算取得費(5%ルール)」を使えます。
購入時の金額が証明できない場合、売った金額の5%を取得費(買った金額)として計算する特例があります。ただし、実際の購入額より低く計算されることが多く、税金が高くなりやすいため、当時の通帳の記録やメモなど、少しでも証拠になるものがないか探すことをお勧めします。
A. はい、マイホームの場合は安くなります。
所有期間が10年を超える「居住用財産(マイホーム)」を売却する場合、長期譲渡所得(約20%)よりもさらに低い軽減税率(6,000万円以下の部分は約14%)が適用される特例があります。
A. 利益が出た場合、特例を使う場合は必須です。
売却益が出ている場合は翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。また、利益が出ていなくても(損をした場合でも)、特例を使って税金を安くしたり、他の所得と損益通算したりするためには申告が必要です。
A. はい、要件を満たせばそれぞれ使えます。
夫婦共有のマイホームを売却した場合、夫と妻それぞれが最高3,000万円、合計で最大6,000万円の控除を受けられる可能性があります。
A. 原則は「引き渡し日」ですが、選択も可能です。
原則として、所有権移転登記(引き渡し)が行われた日を譲渡日としますが、納税者の選択により「売買契約締結日」を譲渡日として申告することも認められています。どちらの日付を選ぶかで所有期間の判定(長期か短期か)が変わる場合は、有利な方を選ぶことができます。

土地売却の税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで約2倍(39% vs 20%)もの差がつきます。
しかし、最も重要なのは「カレンダー上の5年」ではなく、「売却年の1月1日時点で5年を超えているか」という税法上のルールです。
これらを正しく理解することで、大切な資産を最大限に活用することができます。
もし、所有期間の計算や売却のタイミング、難しい土地の処分でお悩みでしたら、私たち株式会社アイエー大宮支店にご相談ください。
お客様一人ひとりの状況に合わせ、最もメリットのある売却プランをご提案いたします。
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