

相続した実家(空き家)を売却する際、一定の要件を満たせば売却益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除できる「空き家特例」が適用できます。令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象で、2024年以降の法改正により「買主側が売却後に解体や耐震リフォームを行う場合」でも適用可能となりました。売却のハードルが大幅に下がった今、本特例を正しく理解して賢く実家を売却する方法を解説します。
この記事のポイント
結論からお伝えします。「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」は、相続した古い実家を売却した際の売却益から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は1人あたり最高2,000万円)を控除できる、非常に強力な税制優遇措置です。
通常、不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して約20%(所得税15.315%、住民税5%)の譲渡所得税が課されます。この特例を活用することで税負担をゼロ、あるいは大幅に軽減させることが可能です。例えば、売却益が2,500万円であれば、特例を使わない場合は約500万円の納税が必要になりますが、特例を使えばその税負担を0円にできます。
もし実家を取得した際の売買契約書を紛失している場合(取得費不明の場合)、売却価格のわずか5%しか経費として認められないため、売却価格の大半が「利益」とみなされ、想像以上の高額課税に直面します。この重い税負担を回避するために、本特例の利用は必須の選択肢となります。
かつてはこの特例を受けるために、売主(相続人)が売却契約を交わす前に「建物を耐震リフォームする」か「自費で解体して更地にする」必要がありました。しかし、令和6年(2024年)1月1日以降の譲渡からは、売却の時点では古い建物のままであっても、買主が売却の翌年2月15日までに解体または耐震改修を完了させれば、売主側で特例の適用が認められるようになりました(国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。
この緩和により、売主は事前に高額な解体費用を持ち出す必要がなくなり、現状渡しでの早期売却への道が大きく開かれています。
本特例の適用期限は「令和9年(2027年)12月31日までの譲渡(売却)」と定められています。2026年現在は、この有利な特例を利用できる貴重な猶予期間です。不動産の売却には、査定から媒介契約、買い手探し、契約、引き渡しまでに半年から1年近くかかることも珍しくありません。期限直前に慌てて売却を進めて要件を取りこぼさないよう、2026年中の今から具体的な売却戦略を立てることが重要です。
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この特例がどのような背景で設けられ、なぜさいたま市の実家売却にとって重要なのか、その理由を整理します。
日本国内では、少子高齢化や都市部への人口流入に伴い、適切な管理がなされない「管理不全空き家」や「特定空き家」が急増しています。国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく対策が進む中、国はこの空き家発生の主な原因が「実家の相続」にあることに着目し、相続人が古い実家を早期に手放しやすくするための「インセンティブ」として本特例を創設しました。
税負担を減らすことで、市場に流通しにくい古い家屋の解体や、適正管理された土地への転換を促すことがこの制度の根底にある狙いです。
埼玉県さいたま市、特に大宮区や見沼区、北区といった古くからの住宅街でも、実家の空き家問題は深刻化しています。高度経済成長期から昭和50年代にかけて一斉に開発された一戸建て住宅街では、所有者の高齢化と相続が相次いでいます。
「親が亡くなって大宮の実家が空き家になったが、自分は都内に住んでいるため戻る予定がない」というケースが非常に多く、さいたま市としても空き家の適正管理や流通促進に力を入れています。地元の不動産価値を維持するためにも、この特例の存在意義は極めて高いと言えます。
売却益が2,500万円出た場合、この特例を使わなければ長期譲渡所得として約500万円の税金を現金で納めなければなりません。取得費が不明な場合(親が昔に購入した際の売買契約書を紛失している場合)は、売却価格のわずか5%しか経費として算入できないため、想像以上の課税額になります。
この特例には複数の要件があり、1つでも満たさないと適用が認められません。各要件を正確に理解しておくことが、後悔のない売却への第一歩です。
特例の対象となる建物には、厳格な建築時期の制限があります。「昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建物」であることが必須です。いわゆる「旧耐震基準」で建てられた、耐震性が不足している可能性が高い古い一戸建ての解消を目的としているため、昭和56年6月1日以降に建築された新耐震基準の家屋は対象外となります。
また、区分所有建物登記がされている分譲マンションなどもこの特例の対象から除外されており、あくまで一戸建て(店舗併用住宅の場合は居住部分のみ)に限られます(国税庁「No.3306」)。
相続が開始される直前において、亡くなった親(被相続人)が「完全に一人で暮らしていたこと」が大原則です。同居している家族や、他人に貸し出している部屋が一部でもあった場合は原則として適用されません。
ただし、老人ホームやケアハウス等に入所していた場合は、一定の要件を満たせば一人暮らしの扱いとみなされ特例が受けられます。
実家を相続した日から売却して引き渡す日まで、対象となる家屋や敷地を「一度も事業の用、貸付けの用、または居住の用に供していないこと」が絶対条件です。
「売れるまでの間、一時的に他人に貸し出した」「物置代わりに自社の事業用資材を置いた」「子供世代が一時的に寝泊まりした」といった行為が少しでもあると、その時点で空き家要件から外れ、特例の権利を完全に失います。売却が決まるまでは絶対に現状の空き家のまま維持してください。
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要件を満たす「状態」が整っていても、売却のタイミングや金額の条件を外してしまうと特例は使えません。以下の3つを確実に押さえてください。
この特例には売却を完了(引き渡し)させなければならないタイムリミットがあります。「相続が発生した日から数えて、3年を経過する日の属する年の12月31日まで」です。
例えば、2023年7月10日に相続が開始した場合、3年を経過する日は2026年7月10日であり、その属する年の年末、すなわち「2026年12月31日」が絶対的な期限となります。この期限を1日でも過ぎてしまうと、他の要件をすべて満たしていても適用は不可となります。
売却する不動産の対価(売却価格)の総額が「1億円以下」でなければなりません。この1億円の判定は土地と建物の合計額であり、「相続人全員の売却額の合計」で判定されます。
実家を複数の兄弟で共有名義として取得し、時期をずらして別々に売却したとしても、それらの売却額を通算して1億円を超えていれば、全員がこの特例を一切使えなくなります。大宮駅周辺などの好立地で土地の坪単価が高い場合は、査定額の段階から1億円のラインを意識した計画が必要です。
令和6年(2024年)の法改正により、1つの空き家を共同で相続した人数が「3人以上」である場合、1人あたりの最高控除額が3,000万円から「2,000万円」へと減額されるようになりました。
例えば、3人の兄弟(長男・次男・三男)で実家を均等に3分の1ずつ共有相続して売却し、全体で6,000万円の売却益が出た場合、各自の利益2,000万円に対して控除上限2,000万円が適用され、課税所得はゼロになります。しかし各自の利益がこの上限を超えると課税が発生するため、事前のシミュレーションが重要です。
特例を受けるには、売却後に確定申告を行うだけでなく、その前段階で自治体から必要書類を取得しなければなりません。順を追って確認しましょう。
特例を利用して確定申告を行うためには、家屋が所在する自治体から「被相続人居住用家屋等確認書(いわゆる空き家確認書)」を発行してもらう必要があります。さいたま市内に所在する不動産の場合は、さいたま市役所の建築総務課等の関連部署が申請受付窓口となります(各区役所ではなく、市役所本庁舎への提出が必要です)。
確認書の発行には数週間程度の時間がかかるため、売却後速やかに申請手続きに入るのが鉄則です。
役所への確認書申請、およびその後の確定申告に備えて、相続時から売却時まで「空き家」であった客観的証拠を集める必要があります。主に必要となるのは以下の書類です。
これらは紛失すると再発行に手間取るため、売却手続きと並行して専用ファイルに一元管理しておくことをお勧めします。
実家の売却が完了した日の属する年の「翌年2月16日から3月15日」までに、自分の住所地を管轄する税務署へ譲渡所得の確定申告を行います。この申告時に、ステップ1で取得した「被相続人居住用家屋等確認書」や売買契約書の写し、譲渡所得の内訳書などの必要書類をすべて添付して提出することで、初めて3,000万円特別控除の適用が法的に認められます。
「利益が3,000万円以下だから税金は0円のはず、だから申告しなくていい」という認識は誤りです。確定申告を行わなければ特例が適用されず、後から高額なペナルティ付きの課税通知が届く可能性があります。必ず確定申告を行ってください(国税庁「No.3306」)。
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2024年の改正は、実家を売却したいと考える相続人にとって非常に有利な内容です。この新スキームを正しく理解して活用しましょう。
法改正によって「現状渡し(古い建物が残ったまま)」での売却スキームが使いやすくなりました。売買契約において「買主が引き渡しを受けた後、建物を解体する、または耐震基準に適合させる改修を行う」旨を明記し、実際に買主が売却した年の翌年2月15日までにその工事を完了させれば、売主は3,000万円控除の適用を受けることができます。
これにより、「古い家付き土地」としてそのまま市場に売り出すことが可能になり、買い手側の自由度(新築を建てるために自分で解体するなど)に合わせた柔軟な取引が実現しました。
実家を更地にしてから売り出す場合、一般的な木造一戸建てでも150万円〜300万円程度の解体費用が売却前に必要となります。「実家を売ったお金で解体費を払おう」と考えていた相続人にとって、この数百万円を一時的に持ち出すのは大きな金銭的負担でした。
買主側での解体を許容する最新ルールを活用すれば、売主は手元資金を減らすリスクを負うことなく売却活動をスタートさせることができます。
買主側で解体等を行ってもらうスキームを利用する場合、不動産売買契約書の「特約条項」の書き方が極めて重要です。単に「解体する」と書くだけでなく、期限と義務を明確にした文言を盛り込む必要があります。
例:「売主の3,000万円特別控除の適用のため、買主は令和○年○月15日(翌年2月15日)までに本物件の家屋の取壊し(または耐震改修)を完了させ、その証明書類を売主に提出しなければならない」
万が一、買主側の都合や工事遅延で2月15日の期限を過ぎてしまうと、売主が特例を受けられなくなります。信頼できる仲介会社を介して、買主側への徹底した進捗確認と連携を行うことが絶対条件です。
実際の相続・売却の現場では、気づかずに特例の要件を外してしまうケースが後を絶ちません。代表的な3つの失敗パターンを確認しておきましょう。
相続が発生した後、兄弟間で「誰が実家を継ぐか、どう分けるか」の話し合いがまとまらず、ずるずると数年が経過してしまうケースがあります。そうしている間に「相続開始から3年目の年末」という期限が迫り、慌てて安値で売却せざるを得なくなったり、最悪の場合は期限切れで特例が使えなくなったりします。
また、安易に「3人の共有名義」にして放置した結果、2024年改正による「3人以上は上限2,000万円への縮小」に引っかかり、控除枠をフルに活かせなくなる失敗も多発しています。遺産分割は初期の段階で専門家を入れて方向性を決めることが鉄則です。
「実家を少しでも高く売りたい」と売却前に壁紙の張り替えやクリーニングを行い、その間一時的に親戚を住まわせたり、「売れるまでの期間がもったいない」と数ヶ月だけ賃貸に出して家賃収入を得たりするケースがあります。
これらは一見合理的な行為に思えますが、本特例の「相続から売却まで一貫して事業・貸付・居住の用に供していないこと」という要件に真っ向から違反します。たとえ短期間であっても、空き家以外の用途に使った実績が残ると特例は100%適用不可となります。
大宮駅や浦和駅などの主要駅から徒歩圏内にある好立地の実家の場合、土地の面積が広いと売却価格が1億円の大台を超えることがあります。例えば、実家全体の売却価格が「1億200万円」になった場合、兄弟2人で5,100万円ずつ分けて相続したとしても、「全体の譲渡価額が1億円超」と判定されるため、2人とも特例の適用額は「0円(適用完全不可)」になります。
「1億円を少しでも超えたらアウト」という極めて厳格なルールであるため、査定価格が1億円前後に届きそうな場合は、価格設定や敷地の切り分けについて慎重な事前シミュレーションが必要です。
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どの不動産会社に依頼するかによって、特例の適用を安全に受けられるかどうか、そして実際の売却価格にも大きな差が生まれます。
昭和56年以前に建てられた旧耐震基準の空き家を高く、かつ確実に売却するためには、その地域のピンポイントな土地相場や、古い家付きのままで買いたいという買主(地元の工務店や建売業者、リノベーション希望の個人など)の需要を熟知している不動産会社を選ぶ必要があります。
大宮周辺は利便性が高く非常に人気のエリアですが、一歩奥に入ると道路の幅が狭い(セットバックが必要な)土地なども多く、地域の特性に応じた正確な査定と売り出し方が成否を分けます。
空き家の3,000万円特別控除を安全に適用するためには、不動産の仲介業務だけでなく、役所への確認書申請手続きのアドバイスや、買主側との解体スケジュールの調整、売却後の確定申告を見据えた税金面のサポートまで一気通貫で相談できるパートナーが必要です。
「株式会社アイエー 大宮支店」は、さいたま市大宮エリアを中心に、数多くの「相続空き家」の売却・再生をお手伝いしてきた実績を持っています。地元の土地特性や法規制を細部まで把握したプロのスタッフが、お客様の大切な実家を「現状渡し」で最も有利に売却するための最適なプランをご提案いたします。
複雑な「3,000万円特別控除」の要件チェックから、役所への申請書類の準備アドバイス、買主様側との特約交渉にいたるまで、一括して徹底サポートいたします。実家の処分にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
はい、要件を満たせば適用可能です。親が老人ホーム等に入所したことにより、相続直前に実家が空き家になっていた場合でも、入所直前まで一人暮らしであり、入所後にその実家を他人に貸したり別目的で使用したりせず「空き家」として維持していた場合は対象になります。ただし、要介護認定等を受けて入所したことの証明書や、ホームの入所契約書の写しなどが追加で必要となります。
はい、対象になります。売主側で古い建物を取り壊して「更地(土地のみ)」として譲渡する場合も本特例の適用対象です。ただし、建物を取り壊した日から「1年以内」に売却契約を結ぶこと、相続開始から3年目の年末の期限内に引き渡しを完了すること、取り壊した後にその土地を別の用途で貸し出さないこと、といった追加の条件があります。
相続人が「2人以下」の場合、1人あたりの最高控除額は「3,000万円」のまま据え置きとなります。したがって、兄弟2人で実家を共有相続して売却し、全体で5,000万円の売却益が出た場合、各自の持ち分に応じた利益(2,500万円ずつ)に対してそれぞれ3,000万円の控除枠が適用されるため、兄弟2人とも譲渡所得税を0円にすることができます。
さいたま市内に所在する不動産の場合、「さいたま市役所」の都市局・建築構造等に関連する部署(建築総務課等)が申請受付窓口となります。各区役所(大宮区役所など)ではなく、市役所の本庁舎に対象書類を提出する必要があります。提出された書類をもとに審査が行われ、要件を満たしていれば「被相続人居住用家屋等確認書」が交付されます。
閉栓証明書とは、電気・ガス・水道などのインフラ会社が発行する、「その住宅の供給契約が終了(閉栓)していること」を証明する書類です。相続開始の時から売却時まで、その家が確かに誰にも使われていない「空き家」であったことを税務署に対して客観的に証明するための最重要書類の一つです。各インフラ会社への連絡で取得可能です。
残念ながら「重ねて適用(併用)」することはできません。相続税を支払った人が不動産を売却する際、支払った相続税の一部を経費に算入できる「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」という別の制度がありますが、この空き家3,000万円控除とはどちらか一方の選択適用となります。一般的には3,000万円控除を利用した方が税負担が軽くなるケースが多いですが、どちらが有利かは個別の税額シミュレーションが必要です。
売却した翌年の2月15日までに買主側での解体(または耐震工事)が完了しなかった場合、売主は本特例の適用を受けることができなくなります。このような事態を防ぐため、売買契約書内で「期限までに工事を完了すること」を厳格に義務付け、万が一買主の過失で期限を過ぎた場合の「損害賠償特約(税金相当額の補償など)」を取り決めておくことが実務上非常に重要です。
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相続空き家の3,000万円特別控除は、要件を正しく理解し計画的に動けば、相続人にとって非常に強力な税制優遇として機能します。特例の期限である2027年12月31日まで残り1年半を切った今、2026年中に売却活動をスタートさせることが、時間的余裕を持って手続きを進める上での最善策です。
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