

市街化調整区域とは、都市計画法第7条第3項で「市街化を抑制すべき区域」と定められた、原則として建物を建てられないエリアです。
市街化区域は、用途地域のルールの範囲内であれば原則自由に建築できる区域です。これに対して市街化調整区域では、新築・建て替え・用途変更のいずれにも自治体の許可が必要になります。都市計画税は原則かかりませんが、住宅ローンや売却のハードルは高くなります。
この記事のポイント
市街化調整区域と市街化区域の最大の違いは、建物を自由に建てられるかどうかです。市街化区域は用途地域の範囲内で原則自由に建てられますが、調整区域では新築・建て替え・用途変更のすべてに許可が必要です。この違いが、税金・住宅ローン・売却のしやすさにまで影響します。
市街化区域と市街化調整区域は、どちらも都市計画法第7条で定義されています。第2項は市街化区域を「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とし、第3項は市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」としています。
「抑制」という言葉は、実務では「原則として新たな開発・建築をさせない」という意味で運用されています。さいたま市の公式サイトも、調整区域を「市街地の無秩序な拡散を抑制する区域」と説明しています。
ちなみに、この2つに区分する作業を「区域区分」、通称「線引き」と呼びます。線引きはすべての自治体で行われているわけではありません。埼玉県では40ある都市計画区域のうち34区域で行われていて、さいたま市は市内全域がどちらかの区域に区分されています。線引きのない都市計画区域は「非線引き区域」と呼ばれ、ルールがまた別になるので注意が必要です。
2つの区域の違いを10項目で比べると、次のとおりです。
| 項目 | 市街化区域 | 市街化調整区域 |
|---|---|---|
| 法的な位置づけ | おおむね10年以内に計画的に市街化を図る区域 | 市街化を抑制すべき区域 |
| 建物の新築・建て替え | 用途地域の範囲内で原則自由 | 原則不可(許可が必要) |
| 用途地域 | 必ず指定される(13種類) | 原則として指定されない |
| 行政のインフラ整備 | 優先的に進む | 後回しになりやすい |
| 都市計画税(上限0.3%) | 課税される | 原則非課税(条例で課税する例外あり) |
| 固定資産税評価 | 通常の水準 | 利用制限の分だけ低くなりやすい |
| 住宅ローン | 多くの金融機関で利用可能 | 許可の内容によっては断られる |
| 売却のしやすさ | 買い手が多い | 買い手が限られる |
| 土地の価格 | 相場どおり | 周辺の市街化区域より安い傾向 |
| 建築の相談先 | 建築確認の窓口 | 開発許可の窓口(都市計画指導課など) |
表の中で、あいまいにしか書けなかった項目があります。土地価格の差です。「市街化区域の3〜5割」という数字をよく見かけますが、公的な統計で裏付けられる一律の比率は見つかりませんでした。価格差は「その土地に誰が何を建てられるか」で大きく変わるので、比率で判断せず、個別に査定するのが確実です。
市街化調整区域の問題は、購入したときより、建て替えや売却のタイミングで表に出てきます。購入時は「相場より安い」「敷地が広い」というメリットばかりが目に入りますよね。
表に出てくるのは、たとえば20〜30年後です。親から相続した家を建て替えようとすると、都市計画法第43条の許可が必要になります。許可が下りるかどうかは、最初にその家がどんな根拠で建てられたかで決まります。農家住宅として建てられた家なら、農業をしていない相続人は同じ条件では建て替えられない、ということも起こります(詳しくは後半の「属人性」で説明します)。
売却も同じ構図です。買い手が住宅ローンを組むとき、金融機関は許可書の内容を確認します。建て替えの見通しが立たない物件は担保としての評価が低くなり、買い手がローンを組めずに売買が成立しない、ということが起きます。「安く買えた」ことと「将来困らない」ことは、別の問題だといえるでしょう。
自分の土地がどちらの区域にあるかは、次の3つの方法で確認できます。
いちばん手軽なのは、自治体がインターネットで公開している都市計画図です。さいたま市も、市街化調整区域や用途地域を公式サイトの「都市計画のお調べについて」から確認できるようにしています。
意外と使えるのが、手元にある固定資産税の納税通知書です。都市計画税の欄が空欄やゼロなら、調整区域にある可能性が高いと見当がつきます。ただし、大阪府枚方市のように、調整区域内の地区計画区域にも2025年度から都市計画税を課税している自治体があります。この方法だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。
売買や相続の手続きに正式な証明が必要なら、市役所の都市計画担当課で確認します。埼玉県入間市のように、区域区分の証明書を発行している自治体もあります。
線引きは、1968年(昭和43年)の都市計画法で作られた制度で、埼玉県では1970年(昭和45年)に初めて指定されました。その後の改正で、既存宅地制度の廃止、災害ハザードエリアでの開発抑制、農地を取得するときの面積要件の廃止という3つの大きな変化がありました。古い情報で判断しないことが大切です。
区域区分(線引き)は、1968年(昭和43年)に制定された都市計画法で作られた制度です。きっかけは、昭和30年代からの高度経済成長で都市に人が集まり、道路も下水道もない農地や山林が虫食い状に宅地化されていったことでした。これを「スプロール現象」と呼びます。
埼玉県が最初に線引きを行ったのは1970年(昭和45年)です。さいたま市は、線引きの基準日を昭和45年8月25日としています。所沢市の資料にも同じ日付の県告示が記録されていて、県内の多くの市町でこの日が基準になっています。
この日付は、今でも実務で重要です。「線引き前からその土地を持っていたか」「線引き前から宅地だったか」が、建築できるかどうかの判断材料になることがあるからです。埼玉県はこれまでに7回、区域区分を見直しています。計画的な整備が確実になった段階で市街化区域に編入する、という慎重な運用を続けてきました。
既存宅地制度は、2001年(平成13年)5月18日に施行された改正都市計画法で廃止されました。それまでは、一定の条件を満たした調整区域内の宅地なら、許可なしで建築することが広く認められていました。その条件は次の4つです。
廃止後も5年間の経過措置がありました。自己の居住用や業務用であれば従来どおり建てられたのですが、この経過措置も2006年(平成18年)5月17日で終了しています。
正直なところ、「うちは既存宅地だから大丈夫」と話す方には、今でもよくお会いします。ですが、現在は既存宅地だったという理由だけでは建築できません。各自治体の現行基準で改めて許可を取る必要があります。
2022年(令和4年)4月1日、市街化調整区域の災害ハザードエリアでの開発を抑制する改正都市計画法が施行されました。改正の柱は2つあります。
1つ目は、自治体が条例で「建築を認める」と指定する区域(第34条第11号・第12号の条例区域)から、災害レッドゾーンと浸水ハザードエリアなどを原則として外すことが明記された点です。災害レッドゾーンとは、災害危険区域・地すべり防止区域・土砂災害特別警戒区域・急傾斜地崩壊危険区域のことです。
2つ目は、災害レッドゾーンを開発区域に含めてはならない対象に、自己の業務用施設の開発が加わった点です。一方で、自己の居住用住宅の開発は、引き続き対象外とされています。
あわせて、調整区域内の災害レッドゾーンにある住宅や施設を、同じ調整区域内の安全な場所へ移すための特例(第34条第8号の2)も新設されました。ここで1つ補足しておきます。さいたま市には、そもそも11号・12号の条例区域がありません。そのため、さいたま市で1つ目の柱が直接効く場面は限られます。この点は、後半のさいたま市のセクションで詳しく説明します。
2023年(令和5年)4月1日、農地法第3条の許可要件のうち「下限面積要件」が廃止されました。以前は、農地を買う人が一定以上の面積(自治体によって10アールや50アールなど)を耕作していなければ許可が下りず、小さな農地は非常に売りにくい状態でした。
この改正で、面積の大小にかかわらず農地の権利を取得できる道が開けました。国土交通省も、2024年10月に「農地付き空き家」の手引きをこの改正に合わせて改訂しています。
とはいえ、誰でも農地を買えるようになったわけではありません。取得する農地をすべて効率的に耕作すること、農作業に常時従事すること、地域との調和という3つの要件は残っています。「家庭菜園がしたいから」という理由だけでは難しいのが実情です。調整区域の農地を宅地として使う場合は、さらに農地転用の許可が必要になります。
市街化調整区域の主なメリットは、土地を取得する費用と、毎年の税負担を抑えやすいことです。都市計画税は原則かからず、固定資産税の評価も利用制限の分だけ低くなりやすい傾向があります。大型の商業施設が建ちにくいので、静かな環境も保たれやすいでしょう。
市街化調整区域の土地は、隣接する市街化区域と比べて安く取引される傾向があります。理由は単純で、建物を建てられる人や用途が限られると、買いたい人が減るからです。
ただ、ここには落とし穴があります。「安い」の裏側には、必ずその理由があるのです。建築許可の見込みがある土地は、調整区域の中でも比較的高く取引されます。逆に、建築の見込みが立たない土地は大きく値下がりします。同じ調整区域でも、建築できるかどうかで価格はまったく別物になると考えてください。
もう1つ見落としやすいのが、インフラ費用です。前面道路に水道管や下水道がなければ、引き込み工事や浄化槽の設置が必要になります。合併処理浄化槽の交換費用の目安は、戸建てで80万〜150万円程度とされています。購入を検討するなら、土地代にこれらを加えた総額で比べるのが鉄則です。
都市計画税は、市街化区域内の土地と家屋に課税されるのが原則の税金です。道路・公園・下水道などを整える都市計画事業の財源にあてる目的税で、税率の上限は0.3%と地方税法で定められています。市街化を抑える調整区域は、この税の対象から原則として外れます。
固定資産税と合わせて毎年請求される税金なので、長く持つほど差は積み重なります。たとえば課税標準額が1,000万円の土地なら、上限税率0.3%で年3万円です(実際の税率は市町村の条例で決まり、住宅用地には軽減特例もあります)。30年持てば、単純計算で90万円の差になります。
ただし、例外があります。地方税法第702条は、特別の事情がある場合に、調整区域のうち条例で定めた区域にも課税できるとしています。先ほど触れた枚方市の地区計画区域がその例です。「調整区域だから都市計画税は絶対かからない」とは言い切れません。購入前に、市役所の資産税課で確認しておきたいところです。
市街化調整区域の土地は、建築や利用の制限がある分、固定資産税の評価額が低く抑えられやすい傾向があります。固定資産税は評価額をもとに計算されるので、評価が下がれば税額も下がるわけです。
ただし、全国一律で「何割安い」という基準はありません。評価は市町村ごとに、地目(宅地・田・畑・雑種地など)や周辺の状況を見て決まります。同じ調整区域でも、宅地と農地とでは評価の考え方がまったく違うので、所有地ごとに納税通知書の「課税標準額」を確認するのが確実です。
もう1つ、覚えておきたいことがあります。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税の課税標準が最大で6分の1まで下がります。古家を解体して更地にすると、この特例が外れて税額が上がることがあります。解体のタイミングは、売却の予定とセットで考えましょう。
市街化調整区域では、大型の商業施設や高い建物が建ちにくく、静かな環境が保たれやすいのが特長です。周りに農地や緑地が多いので、隣家との距離もとりやすくなります。
具体的には、次のような暮らし方がしやすくなります。
一方で、デメリットもあります。スーパーや駅が遠く、車がないと生活できない地域がほとんどです。農地のそばでは、季節によって肥料や農薬のにおいが気になることもあるでしょう。静かさと不便さは表裏一体。購入前には、平日の朝と週末の両方に現地を歩いてみることをおすすめします。
空き家・空き店舗から市街化調整区域まで。なんでもご相談ください!
市街化調整区域のデメリットは、建物を建てるとき、インフラを整えるとき、ローンを組むとき、売るときの4つの場面で表れます。原因はどれも「建築が許可制である」という1点にあります。物置1つでも違反になり得るので、「小さいものなら大丈夫」という思い込みは禁物です。
市街化調整区域では、造成工事を伴わない建築であっても、都市計画法第43条によって新築・改築・用途変更が制限されています。さいたま市も、調整区域で建築する場合は敷地の面積にかかわらず、都市計画法の手続きが必要だと案内しています。
許可の基準はシンプルではありません。第34条の各号か、それに対応する施行令第36条の基準のどれかに当てはまらなければ、ほかの技術的な基準を満たしていても許可は下りません。「同じ大きさの家に建て替えるだけ」でも手続きが必要になるのは、このためです。
リフォームにも注意が必要です。住宅を店舗や事務所に変えるなど、使い方を変える場合は用途変更として許可が必要になります。自治体によっては、建て替え後の規模に上限(たとえば既存の延べ床面積の1.5倍まで)を設けている例もあります。工事の前に、必ず担当課に相談してください。
市街化調整区域では、物置やコンテナといった簡易な構造物でも、置き方によっては都市計画法違反になります。さいたま市も公式サイトで、「簡単な建物なら大丈夫」という思い込みで物置やコンテナを置くと違反になる可能性がある、と注意を呼びかけています。
違反が問題になりやすいのは、次のような場面です。
とくに困るのが、3つ目の売却のときです。相続した土地に親が置いたままのプレハブ倉庫が、売買の障害になることは珍しくありません。撤去費用と手間を誰が負担するのかで交渉がこじれることもあるので、売却を考え始めた段階で現況を確認しておくと安心です。
市街化調整区域は行政のインフラ整備が後回しになりやすく、ライフラインを自分で整える場面が多くなります。主な費用は次の3つです。
水道は、道路部分の引き込み工事も宅地内の工事も、原則として申込者の負担です(茨城県土浦市の案内より)。費用は本管からの距離や道路の状況で大きく変わります。信頼できる公的な相場は見つからなかったので、候補地が決まったら、自治体の指定給水装置工事事業者に見積もりを取ってください。
浄化槽の本体と工事費は80万〜150万円程度が目安です。ここで気をつけたいのが補助金です。さいたま市の浄化槽補助は、単独処理浄化槽やくみ取り便槽から合併処理浄化槽に切り替える場合が対象で、新築に伴う設置は対象外とされています。新しく家を建てる場合、補助は当てにしないほうがよいでしょう。
市街化調整区域でも住宅ローンは組めますが、借りられるかどうかは、どんな許可に基づいて建てられた建物かで決まります。金融機関は、売りにくい物件ほど担保評価を低く見積もるからです。
全期間固定金利のフラット35では、ネット銀行のFAQに、建築許可が下りる建物なら調整区域でも対象になると明記されています。ただし適合証明書の提出と、住宅金融支援機構のための第1順位の抵当権の設定が条件です。民間の変動金利型ローンは、金融機関ごとの判断になります。
同じ調整区域の家でも、評価には差があります。開発許可を受けた分譲地は比較的評価されやすい一方、農家住宅や分家住宅は建てられる人が限られるため、流通性が低いと見られがちです。事前審査の段階で、許可書や建築確認の書類をそろえておくと話が早く進みます。
市街化調整区域の不動産の売却が長引きやすいのは、買い手の数がそもそも少ないからです。建て替えの制限、ローンの組みにくさ、生活の不便さが重なって、購入を検討する人が絞られてしまいます。
見落とされがちなのが、許可を申請するのは買い手だという点です。買い手が誰で、何に使うかによって、許可が下りるかどうかが変わります。つまり同じ土地でも、ある買い手には建てられて、別の買い手には建てられないことが起こるのです。
そのため、売買契約を「許可が下りたら有効」という条件付きで結ぶことがよくあります。許可が下りなければ契約は白紙に戻り、また一から買い手探しです。仲介で売るのか、専門業者に買い取ってもらうのか。この判断は、後半の出口戦略のセクションで整理します。
市街化調整区域でも、都市計画法第34条の各号に当てはまれば開発や建築が許可されます。農家住宅などは、第29条によってそもそも許可が不要です。ただし許可には「誰が建てるか」を条件にしたもの(属人性)が多く、農地の場合は農地転用の許可も別に必要になります。
都市計画法第34条には、市街化調整区域で開発を例外的に認める基準が、第1号から第14号まで並んでいます。代表的なものは次のとおりです。
| 号 | 概要 | 例 |
|---|---|---|
| 第1号 | 周辺住民の日常生活に必要な店舗など | 日用品店、診療所 |
| 第2号 | 鉱物資源・観光資源の活用に必要なもの | 採石施設 |
| 第4号 | 農林漁業用の施設、農産物の加工・貯蔵施設 | 集出荷施設 |
| 第8号の2 | 災害レッドゾーンからの移転 | 同じ用途の住宅の移転 |
| 第9号 | 市街化区域に建てるのが不適当なもの | 休憩所、給油所 |
| 第11号・第12号 | 自治体が条例で指定した区域・用途 | 集落内の住宅(自治体による) |
| 第14号 | 開発審査会の議決を経たもの | 自治体ごとの審査会基準 |
一般の個人が自宅を建てたいときに関係するのは、主に第11号・第12号・第14号です。とはいえ、どの号の基準を定めるかは自治体ごとに違います。「第34条に書いてあるから、どこでも建てられる」わけではないので、土地がある市町村の基準を必ず確認してください。
属人性とは、建築許可が土地そのものではなく、「その人が住むこと」を条件に出されている状態のことです。市街化調整区域の許可には、この属人的な許可がかなり含まれています。
典型的なのが、農家住宅と分家住宅です。分家住宅とは、線引き前から土地を持っていた家の子どもなどが、結婚などで独立するときに認められる住宅のことです。どちらも「建てる人の資格」を条件に許可されています。そのため、資格を持たない第三者が買い取っても、同じ条件で住み続けたり建て替えたりできない場合があるのです。
中古住宅の広告に「建て替え不可」と書かれていないからといって、安心はできません。確認すべきなのは、建築当時の許可書と、その許可の根拠となった条文です。ここを曖昧にしたまま購入するのは、筆者としてはおすすめできません。
都市計画法第29条には、そもそも開発許可がいらない建築物が定められています。調整区域で昔から農家の住宅や作業小屋が建っているのは、主にこの規定によるものです。
代表的なものは次のとおりです。
注意したいのは、農林漁業者の住宅の扱いです。許可がいらないのは、あくまで本人が農林漁業を営んでいることが前提です。持ち主が亡くなったり離農したりしたあとに、第三者が同じ扱いで建て替えられるわけではありません。一般の個人が自宅を建てたい場合には、この適用除外は使えないと考えてください。
市街化調整区域の農地に家を建てるには、都市計画法の許可とは別に、農地法の転用許可が必要です。所有者が自分で転用するなら農地法第4条、転用を目的に売買するなら第5条の手続きになります。
市街化区域の農地は「届出」で済みますが、調整区域の農地は「許可」が必要です。都市計画法の許可と農地転用の許可、両方がそろわなければ家は建てられません。片方だけ先に進めても意味がないので、行政書士や、調整区域に詳しい不動産会社と一緒に進めるのが現実的でしょう。
前に書いたとおり、2023年に下限面積要件が廃止され、農地のまま売る道は少し広がりました。ただ、買い手が農業を営む人に限られることに変わりはありません。相続した田畑の出口は、近隣の農家への売却か貸し出し、転用が見込める土地なら買取業者への相談、という順に検討するとよさそうです。
空き家・空き店舗から市街化調整区域まで。なんでもご相談ください!
さいたま市では、市域の約46%が市街化調整区域です。第34条第11号・第12号の条例基準を定めていないため、「50戸連たんの集落なら建てられる」という他の自治体でよく聞くルールは使えません。建築の可否は、第34条の各号と、市独自の開発審査会基準(一括議決10基準・個別付議11基準)で判断されます。
埼玉県の資料(2024年4月12日現在の一覧)では、さいたま都市計画区域の市街化区域は11,698ha、市街化調整区域は10,051haとなっています。計算すると、調整区域は全体のおよそ46%です。
地域によって差もあります。2005年に合併した旧岩槻市は、合併前(2001年の面積調べ)の時点で市域の77.1%が調整区域でした。同じ時点の旧さいたま市は37.8%です。岩槻区周辺は、今でも調整区域の土地に関する相談が多い地域の1つといえます。
ただし、区ごとの最新の面積は公表資料で確認できませんでした。「西区や見沼区は調整区域が多い」とよく言われますが、正確な割合は市の都市計画担当に確認してください。
さいたま市は、第34条のうち第3号・第5号・第11号・第12号・第13号について基準を定めていません。理由について市は、調整区域での立地を認める特別な必要性がないためと説明しています。
この点は非常に重要です。たとえば隣の川越市などでは、11号・12号の条例区域があり、市街化区域に近い集落なら一定の条件で住宅を建てられます。ところが、さいたま市では同じ理屈が通用しません。ネット上の一般的な解説や、ほかの市の事例をそのまま当てはめるのは危険です。
「親戚の住む近くの市では建てられたのに」という相談は、実際によくあります。自治体ごとの基準の違いは、それほど大きいということです。
さいたま市では、第34条第14号に基づく開発審査会基準を、2種類に分けて運用しています。あらかじめ審査会の議決を経たものとして扱う一括議決基準(10基準)と、案件ごとに審査会にかける個別付議基準(11基準)です。
一般の個人に関係が深い主な基準は、次のとおりです。
見落とせない注意点があります。個別付議基準は、基準を満たしていても、開発審査会の審議の結果によっては許可されないことがあると、市自身が明記しているのです。「基準に当てはまる」ことと「許可が下りる」ことは別物だと考えておきましょう。
さいたま市は、2022年の改正で新設された第34条第8号の2(災害レッドゾーンからの移転)の基準を定めています。調整区域内の災害レッドゾーンにある住宅などを、同じ用途のまま、調整区域内のレッドゾーン外に移すための基準です。
市内には荒川や芝川、綾瀬川などの河川があり、浸水想定区域も広く指定されています。購入でも売却でも、最新の洪水ハザードマップでその土地の浸水の深さを確認しておくことは欠かせません。買い手や金融機関も、今ではハザード情報を必ず確認します。
先ほど書いたとおり、さいたま市には11号・12号の区域がないので、「条例区域からハザードエリアを外す」という規制が直接効く場面はほとんどありません。それでも、ハザードの有無は建築の可否とは別の面で、土地の評価に影響します。
さいたま市で調整区域の建築や開発を相談する窓口は、土地がある区によって2つに分かれています。
北部の窓口は、西区・北区・大宮区・見沼区・岩槻区を担当しています。電話番号は048-646-3184(岩槻区は048-646-3185)です。南部の窓口は、中央区・桜区・南区・浦和区・緑区を担当していて、電話番号は048-840-6184と048-840-6185です。
相談するときは、登記事項証明書、公図、建物の許可書や確認済証の写しを持っていくと話が早く進みます。許可書が見つからない場合でも、市に記録が残っていることがあるので、まずは地番を伝えて調べてもらいましょう。
相続した市街化調整区域の土地は、「建物を建てられるか」と「自分で使う予定があるか」の2つの軸で、出口がほぼ決まります。建てられる見込みがあれば売却、建てられず使う予定もなければ、建物を建てない活用・買取・国庫帰属のどれかを比べて選びます。放っておくのが一番損です。
相続した調整区域の土地の出口は、2つの質問に答えるだけでかなり絞り込めます。1つ目は、建物を建てられる見込みがあるか。2つ目は、自分や家族が使う予定があるか、です。
| 使う予定あり | 使う予定なし | |
|---|---|---|
| 建てられる見込みあり | 許可を取って建築・建て替え | 仲介か買取で売却 |
| 建てられる見込みなし | 駐車場・資材置場などで活用 | 買取、または国庫帰属 |
1つ目の質問の答えは、自分では判断しにくいものです。まずは都市計画指導課で、その土地の過去の許可の記録を調べてもらってください。「建てられるかどうか」が分かるだけで、土地の価値の見通しは大きく変わります。
判断を先送りしても、固定資産税や草刈りの費用はかかり続けます。空き家が建っていれば、傷みも進むでしょう。相続登記の義務化も始まっているので、名義の整理とあわせて早めに方向性を決めたいところです。
建物を建てられない調整区域の土地でも、建物を建てない使い方なら活用できる場合があります。代表的なのは次の3つです。
駐車場は、開発許可が要らず初期費用も抑えやすいので、比較的始めやすい活用法です。ただし周りに住宅や事業所が少なければ、借り手はつきません。資材置場は、幹線道路やインターチェンジに近い土地なら、建設業者や運送業者からの需要が見込めます。
注意点もあります。地目が田や畑なら、駐車場でも太陽光でも農地転用の許可が先に必要です。また、資材置場として貸したあとに、借り手が勝手に事務所用のプレハブを置いてしまうケースもあります(これは違反建築物になり得ます)。貸すときは、契約書で「建築物の設置禁止」をはっきり書いておきましょう。
市街化調整区域の土地を売る方法は、一般の買い手を探す「仲介」と、不動産会社が自ら買い取る「買取」の2つです。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買い手 | 一般の個人・事業者 | 不動産会社 |
| 売却価格 | 高くなる可能性がある | 仲介より低めになりやすい |
| 売れるまでの期間 | 買い手次第で長引く | 短期間で決まりやすい |
| 仲介手数料 | 必要 | 不要 |
| 許可が下りないリスク | 売主も影響を受ける | 買取業者が負う |
以前は、低価格の土地は仲介会社にとって手数料が少なく、積極的に扱われにくい状況でした。しかし2024年7月1日から、800万円以下の物件では、仲介手数料の上限が30万円+税(税込33万円)に引き上げられました。売主・買主の双方に適用され、低価格の土地も扱われやすくなったといえます。ただし、この特例を使うには媒介契約のときに合意しておく必要があります。
筆者の見解を言えば、建築許可の見込みがはっきりしていて急がないなら、仲介を試す価値はあります。一方で、許可の見込みが立たない土地、農地、残置物がある古家付きの土地なら、最初から調整区域の買取実績がある会社に査定を頼んだほうが、時間も手間も少なくて済むはずです。
売れない・活用できない土地の最終手段が、2023年4月27日に始まった相続土地国庫帰属制度です。相続や遺贈で取得した土地を、審査を経て国に引き取ってもらえます。
費用は、審査手数料が1筆14,000円、承認後に納める負担金が10年分の管理費相当額です。負担金は原則として面積にかかわらず20万円です。例外として、市街化区域や用途地域内の宅地、農用地区域などの田畑、森林は、面積に応じて負担金が決まります。
ハードルは低くありません。建物が建っている土地、境界が明らかでない土地、担保権が付いている土地などは、申請の段階で却下されます。古家付きの土地なら解体が前提になり、その費用も自己負担です。買取の査定額と「解体費+負担金」を比べてから判断するのが賢明でしょう。
空き家・空き店舗から市街化調整区域まで。なんでもご相談ください!
株式会社アイエー大宮支店は、さいたま市を中心とした埼玉県の中央・東部エリアで、市街化調整区域の宅地・雑種地・農地・山林の買取に力を入れている不動産会社です。自社で開発手続きや造成を行うため、一般の買い手が付きにくい土地でも査定の対象になります。
株式会社アイエーは、埼玉県川越市に本社を置く土地買取の専門会社として、2005年9月1日に設立されました。大宮支店は2016年7月7日に開設され、アジアグループの一員として営業しています。
大宮支店の主な対応エリアは、さいたま市・川口市・戸田市・蕨市・上尾市・桶川市・伊奈町などの中央エリアと、越谷市・春日部市・蓮田市・久喜市・幸手市などの東部エリアです。所在地は、さいたま市北区大成町4-204-1です。
アイエー大宮支店は、市街化区域の土地に加えて、市街化調整区域の宅地・雑種地・農地・山林の買取を強化していると公表しています。一般の不動産会社が扱いを避けやすい土地を、主な対象としているのが特徴です。
買い取った土地は、自社で開発手続きや造成工事を行い、分譲するなどして活用しています。建てられる見込みや、活用の道筋を自社で検討できるからこそ、調整区域の土地も査定できるわけです。空き家の相談、相続物件の処分、解体まで、まとめて相談できます。
アイエーは、自社が買主になる直接買取を行っています。直接買取には、一般に次のような特徴があります。
同社のコラムでは、買取なら最短1週間程度での現金化も可能だと説明しています。ただし、実際の期間や価格、引き渡し後の責任(契約不適合責任)の扱いは、土地の状態と契約内容で決まります。査定を受けたら、条件を書面で確認してから判断してください。
アイエー大宮支店への相談は、電話か、同社サイトの無料ネット査定から申し込めます。電話番号は048-662-7866です。
相談のときに次の資料が手元にあると、査定がスムーズに進みます。
資料がそろっていなくても、地番や住所が分かれば相談できます。「建てられるか分からない」「どこに相談していいか分からない」という段階での問い合わせでも問題ありません。
市街化調整区域について、よく寄せられる質問を10問にまとめました。結論はどれも「土地ごとに、許可の記録と自治体の基準を確認する」に行き着きます。
Q1. 市街化調整区域かどうかはどうやって調べる?
自治体がネットで公開している都市計画図で確認できます。固定資産税の納税通知書の都市計画税の欄がゼロなら、調整区域の可能性が高いと見当がつきます。ただし、一部の調整区域に都市計画税を課している自治体もあるので、最終的には役所の都市計画担当課で確認してください。
Q2. 市街化調整区域の固定資産税は安い?
利用の制限がある分、評価額は低くなりやすい傾向があります。ただし一律に「何割安い」という基準はなく、地目や周辺の状況で決まります。住宅が建っていれば住宅用地の特例も適用されるので、解体するときは税額が上がる点に注意してください。
Q3. 市街化調整区域なら都市計画税は絶対にかからない?
原則は非課税ですが、絶対ではありません。地方税法第702条により、特別な事情があれば、条例で定めた調整区域にも課税できます。大阪府枚方市は2025年度から、調整区域内の地区計画区域に課税しています。
Q4. 中古住宅なら建て替えはできる?
自由に建て替えられるとは限りません。その家がどんな許可に基づいて建てられたかで決まります。農家住宅や分家住宅など、建てる人の資格を条件にした許可の場合は、第三者が同じ条件で建て替えられないことがあります。
Q5. 物置やカーポートにも許可は必要?
置き方によっては必要です。さいたま市は、物置やコンテナを置くと都市計画法違反になる可能性があるとして、事前に相談するよう呼びかけています。自己判断で置かず、事前に都市計画指導課に確認してください。
Q6. 市街化調整区域でもフラット35は使える?
建築許可が下りている(または下りる)建物なら対象になります。そのうえで、適合証明書の提出と、住宅金融支援機構のための第1順位の抵当権の設定が必要です。再建築の見通しが立たない物件は、利用できないと考えてください。
Q7. 相続した農地は売れる?
農地のままでも売れますが、買い手は農業を営む人に限られます。2023年4月に下限面積要件が廃止されたので、小さな農地の取引はしやすくなりました。宅地などに転用して売る場合は、農地法第5条の許可が必要です。
Q8. 既存宅地なら家を建てられる?
既存宅地というだけでは建てられません。既存宅地制度は2001年5月18日に廃止され、経過措置も2006年5月17日に終わっています。今は各自治体の現行の基準で許可を取る必要があります。
Q9. 仲介と買取はどちらが得?
建築許可の見込みがはっきりしていて急がないなら、仲介で高く売れる可能性があります。許可の見込みが立たない土地や、残置物のある古家付きの土地なら、買取のほうが確実で早く売れます。2024年7月からは、800万円以下の物件の仲介手数料の上限が税込33万円になっています。
Q10. 売れない調整区域の土地は国に引き取ってもらえる?
相続土地国庫帰属制度を使えば、引き取ってもらえる場合があります。審査手数料は1筆14,000円、負担金は原則20万円です。ただし建物がある土地や、境界がはっきりしない土地は申請できません。
空き家・空き店舗から市街化調整区域まで。なんでもご相談ください!
市街化調整区域は、建築が許可制の区域です。価格や税金のメリットがある一方、建て替え・ローン・売却のハードルは高くなります。さいたま市には11号・12号の条例区域がないなど、自治体ごとのルールの違いも大きいので、一般論ではなく「その土地の許可の記録」で判断することが欠かせません。
市街化区域と市街化調整区域の違いは、建物を自由に建てられるかどうかに集約されます。土地の価格が安いこと、都市計画税が原則かからないことは、どちらもこの制限の裏返しです。
購入を考えている人は、土地代だけでなく、浄化槽や水道の引き込み費用まで含めた総額で比べてください。そして何より、将来の建て替えと売却まで見通してから判断することが大切です。
市街化調整区域のルールは、全国共通の都市計画法だけでなく、自治体ごとの条例や開発審査会基準で大きく変わります。さいたま市には11号・12号の条例区域がなく、個別付議基準は基準を満たしても許可されないことがあります。
ネットの一般的な解説や、ほかの市の事例をそのまま当てはめないでください。判断の最終的なよりどころは、都市計画指導課での事前相談です。
相続した調整区域の土地を「使い道がない」と放っておくと、固定資産税や草刈りの費用がかかり続けます。空き家があれば、傷みも進むばかりです。「建てられるか」と「使う予定があるか」の2つの軸で、活用・売却・国庫帰属のどれにするかを早めに決めましょう。
さいたま市やその周辺の調整区域・農地・山林なら、買取の実績がある株式会社アイエー大宮支店(048-662-7866)に、まずは現状のまま査定を依頼してみるのも1つの方法です。
無料土地査定のフォームに入力するのも面倒なあなたにおすすめ!LINEを使った土地のお悩み相談もあります。営業時間にオペレーターが直接返信いたします。

正確な価格が知りたい方や、直接担当者と話がしたい方も、もちろん電話相談受付中です。書類の取り寄せ、実際に現地に足を運び、正確に土地査定いたします。
近年早く土地を売りたいお客様が増えております。なるべく早く対応させていただきますが、一つ一つを丁寧正確にと対応していくとお待たせしてしまうことがありましたので、予約することをおすすめします。
