

相続前と相続後、どちらで売るのが得かは「相続税がかかるかどうか」でほぼ決まります。相続税が発生しない家庭なら、親が住んでいるうちに売ってマイホーム3,000万円特別控除を使う方が手残りは多くなりやすい。逆に相続税がかかる資産をお持ちなら、不動産のまま相続して小規模宅地等の特例(評価額最大80%減)を効かせた方が、トータルで数百万円単位で有利になるケースが目立ちます。
実家や所有不動産の処分で「親が元気なうちに売るべきか、相続してから売るべきか」と迷っている方へ。タイミングひとつで納税額が数十万〜数千万円変わることも珍しくありません。埼玉県さいたま市を中心に土地・不動産の売却・買取を専門に扱う株式会社アイエー 大宮支店が、2026年時点の最新税制をもとに、失敗しない判断フローを整理しました。
この記事のポイント
売却タイミングは、あなたの家庭が「相続税の課税ラインを超えるか」と「その不動産を今どう使っているか」の2軸で決まります。まずは相続税の基礎控除(=3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかを確認してください。ここが分岐点です。
相続税の心配がないなら、譲渡所得税をいかに減らすかがテーマになります。親が自宅として住んでいるなら、相続前の売却が有利になりやすい。理由は、居住用財産の3,000万円特別控除(マイホーム特例/国税庁 No.3302)が使え、売却益から最高3,000万円を差し引けるためです。売却益が3,000万円以内なら譲渡所得税・住民税はゼロになります。
一方で、すでに空き家になっている、賃貸に出しているといった場合は、相続後に売って空き家特例や長期譲渡の税率を活用する方がよいこともあります。ここは物件の状態次第。
相続税が発生する見込みなら、原則として相続後の売却が有利になるケースが多数を占めます。不動産のまま相続すると、現金で持つより相続税評価額が下がり、さらに小規模宅地等の特例で土地評価を最大80%圧縮できる(国税庁 No.4124)からです。売却時も、相続税を納めた人なら取得費加算の特例(No.3267)で譲渡所得税を抑えられます。相続税と譲渡所得税、二段構えで軽くできるわけです。
きょうだいで分けるようなケースでは、税金以前に「揉めないこと」が最優先になります。物理的に分けにくい土地は、共有名義で相続すると後々トラブルの火種になりがち。選択肢は次の2つに整理できます。
親が元気なうちに売って現金にしておけば、遺産分割協議は1円単位で公平に分けられます。ここは正直、税額よりも家族関係のダメージを避ける視点で判断した方がいい場面。
空き家・空き店舗から市街化調整区域まで。なんでもご相談ください!
親が存命のうちに売る「生前売却」は、譲渡所得税で得をしやすい反面、相続税の節税効果を捨てることになります。両面をきちんと押さえておきましょう。
最大の武器はマイホーム3,000万円特別控除です。親が現在住んでいる自宅なら、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます(国税庁 No.3302)。さらに所有期間が10年を超えていれば、軽減税率の特例(No.3305)を併用でき、6,000万円以下の部分は14.21%まで税率が下がります。加えて、分けにくい不動産を現金化しておけば相続トラブルを未然に防げますし、売却資金を介護費用や老人ホームの入居一時金に充てられるのも実務的なメリット。
裏を返すと、相続税の圧縮チャンスをまるごと失います。土地の相続税評価額は路線価ベースで時価より2〜3割低いのが一般的ですが、生前に現金化してしまうと額面100%が相続財産としてカウントされる。さらに、相続時に土地の評価を最大80%下げられる小規模宅地等の特例も、更地で売ってしまえば一切使えません。相続税がかかる家庭ほど、この損失は大きくなります。
ずばり、相続税の基礎控除内に収まることが確実な家庭です。たとえば配偶者と子2人なら基礎控除は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)。総資産がこのラインを超えないなら、相続税の心配をせずマイホーム特例をフルに使える生前売却が合理的です。ほかに、親が老人ホームに入って自宅が空き家になる予定で、売却資金が必要な場合も候補になります(この場合の特例期限は後述のFAQで解説します)。
相続で引き継いだ不動産を相続人が売る場合、税制上の恩恵が二段構えになる一方、名義変更や遺産分割という手続きの壁が立ちはだかります。
相続税を大きく抑えられるのが最大の強みです。不動産のまま相続すれば現金より評価額が下がり、小規模宅地等の特例が使えれば特定居住用宅地は330㎡まで80%減額されます(国税庁 No.4124)。売却時には、要件を満たせば相続空き家の3,000万円特別控除(空き家特例/No.3306)で譲渡所得から最高3,000万円を控除でき、この特例は令和9年(2027年)12月31日まで延長されています。相続税を納めた人なら、取得費加算の特例(No.3267)で譲渡所得税もさらに軽くできます。
まず避けて通れないのが相続登記です。2024年4月から相続登記が義務化され、売却の前に遺産分割協議書などを整えて相続人名義に変更しておく必要があります。登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)や司法書士報酬(おおむね5〜15万円)もかかる。もう一つの壁が遺産分割協議で、相続人の意見が対立すると手続きが止まり、そのまま空き家として放置されるリスクが生じます。
相続税がかかる可能性が高い資産家・不動産保有者は、まずこちらを検討すべきです。加えて、実家が昭和56年5月31日以前に建てられた「旧耐震」の戸建てで、被相続人が一人暮らしだった場合は空き家特例の要件に合致しやすく、相続後売却の恩恵を最大化できます。ちなみに空き家特例には売却額1億円以下という上限もあるため、高額物件では事前確認を。
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具体的な数字で、手元に残る現金がどう変わるか見ていきます。先に断っておくと、これは前提条件を置いた概算です。実際の税額は他の相続財産の額や評価額で大きく動くため、あくまで方向感をつかむための試算として読んでください。
比較しやすいよう、次の条件で計算します。取得費が不明なケースは実務でよくあるので、あえてそのパターンにしています。
譲渡所得は両パターンとも「4,000万円−200万円−140万円=3,660万円」で計算します。ここに、使える特例の違いが効いてきます。譲渡所得税だけを見れば相続前が圧勝ですが、相続税まで含めると評価が逆転するのがポイントです。
| 比較項目 | A:相続前に売却 | B:相続後に売却 |
|---|---|---|
| 使える主な特例 | マイホーム3,000万円控除 | 小規模宅地80%減+取得費加算 |
| 課税譲渡所得 | 660万円(3,660万−3,000万控除) | 3,660万円(控除前) |
| 譲渡所得税・住民税(概算) | 約134万円(長期20.315%) | 約400万〜740万円(取得費加算の額次第) |
| 相続時の課税価格 | 現金 約3,700万円(額面100%評価) | 土地評価 約640万〜800万円(80%減後) |
| 相続税への影響 | 圧縮なし | 数千万円規模で圧縮 |
| 総合的な手残り | 譲渡益は多いが相続税で目減り | 相続税を含めた総額で有利になりやすい |
譲渡所得税だけを切り取ると、マイホーム3,000万円控除が使える相続前(約134万円)が魅力的に映ります。ところが相続税まで含めた総支払額で考えると、話は変わる。相続後に小規模宅地等の特例を効かせて土地評価を80%圧縮した方が、トータルで何百万円も手残りが増えるケースが多いのです。見るべきは「譲渡所得税単体」ではなく「相続税+譲渡所得税の合計」。ここを取り違えると判断を誤ります。なお、Bの譲渡所得税に幅があるのは、取得費加算の額が納めた相続税に連動するためで、正確な数字は個別計算が必要です。
相続不動産をめぐるルールは、ここ数年で大きく動いています。元記事の頃には無かった、あるいは見落とされがちな2026年時点の重要ポイントをまとめました。ここを知っているかどうかで、無用な税負担や過料を避けられます。
意外と見落とされがちなんですが、相続した不動産の所有期間は、被相続人(親)が取得した日から通算されます。つまり相続した直後に売っても、親の保有が5年を超えていれば長期譲渡(20.315%)扱いになる。「相続したばかりだから短期の39.63%を取られる」というのは、多くの場合、誤解です。ここは手残りに直結する重要な事実。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象になります。過去に発生した相続も対象で、その期限は2027年3月31日です。ただ、遺産分割が3年以内にまとまらないこともある。そんなときのために相続人申告登記という制度が同時に創設されました。
注意点として、相続人申告登記は所有権移転を伴わないため、この状態では売却も担保設定もできません。あくまで過料を避けるための応急措置です。
さらに2026年は、登記まわりで2つの動きがありました。ひとつは2026年4月1日施行の住所等変更登記の義務化で、氏名・住所などが変わったら2年以内に登記する必要があり、怠ると5万円以下の過料の対象です。相続後に名義人の住所変更を放置していると、これに引っかかる可能性がある。もうひとつが2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度で、氏名から全国の不動産を一括で調べられます(手数料は窓口で1通1,600円)。「親名義の土地がどこにあるか把握しきれない」という相続の悩みに、正面から使える新しい仕組みです。
相続税がかかる規模の資産をお持ちの方は、毎年の税制改正にも目を配っておきたいところ。令和8年度税制改正では、高額所得者に対する負担率の調整(いわゆるミニマム税)や貸付用不動産の評価適正化などが論点に挙がっています。ただ、改正の適用範囲や施行時期は流動的で、この点については確定情報を国税庁や税理士で確認するのが安全です。裏の取れていない噂で売却タイミングを動かすのは避けましょう。
空き家・空き店舗から市街化調整区域まで。なんでもご相談ください!
埼玉県中央部のさいたま市(大宮区、浦和区、北区、見沼区など)で不動産を売るなら、地域ならではの事情も押さえておきたい。全国共通の税制に加えて、このエリア特有の「効きどころ」があります。
大宮エリアは交通利便性が高く、近年は地価が上昇傾向にあります。地価が上がっている土地を売ると売却益(譲渡所得)が膨らみやすく、その分、特例を使えるかどうかが手残りを大きく左右する。つまり値上がりエリアほど、3,000万円控除や取得費加算を確実に適用できるかが勝負になります。売却前に、自分がどの特例に該当するかを整理しておくことが欠かせません。
さいたま市の郊外や周辺の埼玉県内には、市街化調整区域の土地、境界が曖昧な土地、古い借地権・底地などが少なくありません。この手の土地は相続後に放置すると管理コストがじわじわ膨らみます。生前のうちに境界確定を済ませたり、こうした複雑な権利関係を扱える買取業者に相談しておくことが、スムーズな現金化のカギ。実際、権利関係が入り組んだ土地ほど、動き出しの早さがそのまま結果を左右します。
原則としてできません。不動産の所有者本人の意思確認ができない場合、売買契約を結べないためです。認知症が進んでいるなら家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てる必要がありますが、居住用財産の売却には家庭裁判所の個別許可が要り、ハードルは高め。だからこそ、親が元気に判断できるうちに方針を決めておくことが何より大切です。
使える可能性があります。ただし条件付きです。「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」「その間に他人へ賃貸していないこと」などの要件を満たす必要があります(国税庁 No.3302)。入居後に空き家のまま時間が経つと期限切れになるため、売却の見通しは早めに立てておきたいところ。
いいえ、要件が厳しめです。昭和56年5月31日以前に建てられた旧耐震基準の戸建てで、被相続人が一人で暮らしていたことなどが条件になります(国税庁 No.3306)。区分所有マンションは対象外。また令和6年以降の改正で、相続人が3人以上の場合は1人あたりの控除上限が2,000万円に引き下げられています。売却額1億円以下という上限もあります。
購入時の売買契約書や領収書がない場合、原則として「売却代金の5%」を取得費とみなして計算します(概算取得費)。この方法だと売却益が大きく出て譲渡所得税が高くなりがちなので、3,000万円控除や取得費加算の特例の活用が重要になります。なお、市街地価格指数などを使った合理的な取得費の推計が認められた事例もあるため、安易に5%と決めつけず、税理士に相談する価値はあります。
取得費加算の特例など、節税に使える特例が利用できなくなり、譲渡所得税が満額課税されてしまいます。揉めそうな場合は、申告期限内にいったん法定相続分で相続税を申告し、後から協議を成立させる手続きを取るのが現実的。登記義務については、前述の相続人申告登記で暫定的に対応できます。
状況によります。空き家特例については、令和6年以降、買主が購入後に解体・耐震改修を行うケースでも一定要件のもとで適用できるようになりました。つまり現況のまま売却できる余地が広がっています。解体費用を自腹で先払いするリスクを避けるためにも、まずは現況のまま査定してもらうのが無難です。
多くの場合、そうはなりません。相続した不動産の所有期間は親(被相続人)の取得日から通算されるため、親が5年を超えて所有していれば、相続直後の売却でも長期譲渡(20.315%)扱いになります。相続を機に売るなら、この所有期間の引き継ぎは知っておいて損はありません。
大きく2つあります。ひとつは2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度で、氏名から全国の不動産を一括検索できます(1通1,600円)。もうひとつは2026年4月1日施行の住所等変更登記の義務化で、住所や氏名の変更は2年以内に登記しないと5万円以下の過料の対象になります。相続手続きの見落とし防止に役立つ制度です。
はい、承っています。株式会社アイエー 大宮支店は、さいたま市をはじめ埼玉県全域の土地・不動産の直接買取と相続相談を専門に行っています。複雑な権利関係の土地や、査定・節税対策のご相談も無料で対応しています。
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相続前と相続後、どちらが正解かは一概には言えません。判断の軸はシンプルで、次の2パターンに集約されます。
前者はマイホーム3,000万円控除、後者は小規模宅地等の特例+取得費加算が効きどころ。そして2026年は登記関連の新制度も動いているため、手続き面の期限管理も忘れずに。税金の計算と不動産査定は複雑に絡み合うので、失敗を防ぐ第一歩は自分の不動産の正確な現在の時価(査定額)を把握することです。それがなければ、どのタイミングが得かも判断できません。
埼玉県・さいたま市で不動産や実家の処分にお悩みなら、株式会社アイエー 大宮支店へお気軽にご相談ください。地域密着の実績とスピード査定で、手残りが最も多くなるプランをご提案します。
※本記事は2026年時点の税制・法令に基づく一般的な情報であり、個別の税務・法務アドバイスではありません。特例の適用可否や税額は個々の事情によって変わります。実際の売却・申告にあたっては、税理士・司法書士・不動産の専門家にご確認ください。
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